MEISEI CROSSING BASEの企画運営メンバーを紹介します。
今回はデザイン学部の萩原修教授に、ご自身のこれまでの活動とMEISEI CROSSING BASEや多摩地域に対する想いについてインタビューをしました。
萩原先生のこれまでの活動
――萩原先生のこれまでのご経歴について教えていただけますでしょうか。
美大でデザインを学び、最初は印刷会社に就職しました。その後に、東京ガス系の会社に転職し、2004年に個人事業主として独立しました。振り返ってみると、20年ほど会社に勤務していたので、サラリーマン生活がかなり長かったですね。
印刷会社では、印刷物やカタログ等の企画・ディレクションに携わり、展覧会の企画などをしていました。仕事の展覧会でつくった建築を引き取る形で、1999年に自宅をつくったりもしました。「9坪の家」という名称で、同名の書籍も出版しています。現在は、娘がその建物で民泊も提供しています。


――20年ほど会社員として勤務されてから独立されたのですね。
デザイナーは、一般的に30歳前後で独立することが多いですが、私の場合は42歳のときに独立しました。組織に所属していると理不尽なことがあったり、やりたいことがしにくかったりして、もやっとしていました。安定はしていましたが、自分で決めたいと思い独立しました。独立したときは、中学生と高校生の子どもがいたので、妻は不安だったと思いますが、許してくれましたね。
あまり深く考えずにやめたので、独立した直後は、頼まれた仕事を何でもやっていました。サラリーマンのときからの知り合いに建築家やデザイナーがたくさんいたので、つながりのあるデザイナーから企画やディレクションの仕事を発注してもらっていました。おそらく、デザイナーとのつながりは日本一あったと思います。文房具の製造販売と企画・ディレクションの仕事もしていて、2006年には「つくし文具店」という文具店も立ち上げました。
▼萩原先生が立ち上げた「つくし文具店」

――現在は大学教授をしながら、会社も経営されているのですね。
そうですね。52歳のときに明星大学のデザイン学部に着任しました。着任する前も、美大や専門学校でゲスト講師や客員教授を勤めていました。2014年に明星大学にデザイン学部が設立されるときに、「地域×デザイン」の専門性がある教員を公募していたので、応募して採用され、デザイン学部設立とともに着任しました。
それから、組織でなければ受けられない仕事も舞い込んできたので、2014年には会社も立ち上げました。主な事業は、文房具の製造販売と企画・ディレクションです。
MEISEI CROSSING BASEや多摩地域に対する想い
――MEISEI CROSSING BASEには、どのような経緯で参画されましたか。
大学の担当者から連絡があり、概要を聞いたところ「面白そう」と思いました。もともと、明星大学における「クロッシング(様々なものが交わる)」の機会をもっと増やしたいと思っていました。明星大学の学生や教員が、学部を超えてつながって欲しいし、もっと地域ともつながって欲しいと思っています。
デザイン学部では、ビジネス系の科目を担当していたので、ビジネスにも関心がありました。また、以前に理事をしていたNPOでコミュニティビジネスの支援をしていたため、起業支援にも関心がありました。
――なるほど、そのような経緯でご参画されたのですね。MEISEI CROSSING BASEでは、どのようなことを目指していらっしゃいますか。
多摩地域におけるビジネスや起業で、もっとデザインが活用されるようにしたい。多摩地域の商品やサービスには、「なんてダサいんだ」と思ってしまうものが少なくないと思っています。23区と多摩には、経済的な格差もありますが、文化的にも格差があると思っています。
多摩には数多くの可能性があるので、ビジネスや起業にデザインの力をもっと取り入れ、多摩を世界一クリエイティブなエリアにしたいと思っています。
――世界一クリエイティブなエリア! 素敵ですね。多摩にはどのような印象をお持ちでしょうか。
多摩エリアの半分は山で、半分は郊外住宅地・ベットタウンです。多摩にはポテンシャルが高い優秀な人材がいるのですが、ベットタウンなので地域であまり活動せずに眠っている人が多いという印象です。
私は、そのような人々を叩き起こし、地域で活動してもらう仕掛けをつくりたいと思っています。 本業は都心でもよいですが、副業的に多摩地域で活動して欲しいと思っています。私が関わっている国分寺の市民協働のプログラムである「国分寺カレッジ」には、多くの面白い人々がきました。このような仕掛けによって、地域にいる面白い人を焚き付けたいと思っています。
▼萩原先生が関わった「国分寺カレッジ」

――さいごに、MEISEI CROSSING BASEで起業を目指す方々にメッセージをお願いします。
MEISEI CROSSING BASEの支援プログラムを通して、地域活性化に貢献できるコミュニティビジネスを立ち上げるだけでなく、世界にも通用するユニークな試みにも挑戦して欲しいです。
遠慮はまったく不要なので、皆さんたちがやりたいことを通して、面白いものを作ってほしいです。私は多摩で活動していますが、皆さんは多摩という地域特性はあまり考えなくてよいので、やりたいことをして欲しいです。やりたいことを実現する場所が、たまたま多摩だったということでよいと思います。
――ありがとうございました!