多摩エリアの企業や行政が抱える課題(クエスト)を解決すべく、学生たちのチームが取り組むプログラム「クロッシングクエスト」。今回は、日野市役所のクエストに挑んだ、デザイン学部デザイン学科3年冨⽥ 悠介さん、経営学部経営学科2年潟永 真徳さん、⼼理学部心理学科1年吉⽥ 亜希帆さんにお話を伺いました。
潟永さんは、日野市役所チームのリーダー。明星大学の学園祭「星友祭」の実行委員会の活動もしており、現在は地域とコラボして何かおもしろいことができないか考案中なのだそう。3年生の冨田さんは、現在就職活動の真っ最中。日々エントリーシートに追われているそうです。心理学部1年生の吉田さんは、幼少の頃から続けているチアリーディングや羽田空港のアルバイトなど、日々アクティブに学生生活を楽しんでいます。
―みなさんは少なからず起業に興味があってクロッシングクエストに参加したと思いますが、起業のどんなところに魅力を感じますか?みなさんそれぞれが思い描く起業の魅力を教えてください。
潟永さん:
自分が好きなことをそのまま仕事にできるのが起業の大きな魅力だと思います。株式会社ロンドさんにインターンで行ったのですが、代表の金子さんという方が自分の好きなことを仕事にするということを話されていて、10年20年後も好きなことを仕事にできるというのは魅力的だなと思いました。
冨田さん:
自分は起業をしたいというよりは、会社の仕組みをちゃんと理解しておきたいという気持ちで参加しました。就職すると、特定の部署で特定の仕事しかできないイメージがあって、 大まかな仕事の流れが実感できないのかなと思ったんです。クロッシングクエストに参加することで、仕事の進め方や流れを実感してみたいと思いました。
吉田さん:
私の場合は起業を絶対したいっていう思いがあるかというと、まだそういうわけではないです。大学で心理学を専攻しているのですが、経済や経営の知識については自分で学習していかないと興味のある消費者心理学につなげていけないのではないかとずっと考えていました。自分で学べる場を探していた時にクロッシングクエストのことを知り、興味を持ちました。自分で事業を立ち上げたりする時に、消費者はどう考えるのかなど消費者心理を意識しながら取り組みたいと思い、参加を決めました。
―それぞれ違う学部だからこそ、地域メディアを効果的に運営するために必要な、さまざまな視点を持ち寄ることができたのではないかと思いました。例えば、経営学部なら店舗の経営やサイトの運営コストを想像できそうですし、心理学部なら店舗側と日野市の住民それぞれの視点でのニーズを考えられると思います。デザイン学部ですと、読者を惹きつけるキャッチーなアピールポイントを構築できるかもしれないですよね。課題解決の提案をつくり上げるプロセスで、みなさんそれぞれの持ち味を活かすことができましたか?
潟永さん:
最初はみんなで各学部ならではのいろいろな視点からアイデアを出し合っていたのですが、途中から伴走支援としてメンターさんに入っていただき、メンターさんとの壁打ちがメインになっていきました。自分たちでアイデアを広げられたかというと難しく、アイデアが錯綜してしまうという問題に直面しました。それこそ個々で持っている知識も視点も違うのでアイデアがまとまらなかったんですけど、メンターさんにリードしていただいて進められたという感じでした。
冨田さん:
メンターさんが主体となって進めてくれたことで、自分が普段デザイン学部でやっている課題解決の進め方とは全く違うものが見れたのが新鮮で印象的でした。
吉田さん:
そうですね、自分たちの考えだけで進められたわけではないですね。メンターさんが AI に強い方でしたので、AIとの壁打ちの仕方など、自分たちだけでは学べなかったことを学べました。ただ、自分たちで”考える”ということ、自分たちの持ち味を活かすという点は難しかったように思います。
―基本的には、メンターさんがみなさんそれぞれの持ち味を見抜きつつ、リードしながら取りまとめていった流れでしょうか。「こういうところリサーチしてみましょう」のように、具体的な指示がメンターさんからあったのでしょうか。メンターさんは大学の先生ですか?
潟永さん:
はい、概ねそのような流れで進めていきました。メンターさんは明星クロッシングベースで指定されている外部の方です。自分たちのチームはバイトルなどで知られる株式会社dipの山根 弘成さんでした。かなり具体的に指示していただきました。
ーメンターである山根さんとのやり取りのプロセスはどのようなものでしたか?
潟永さん:
自分たちでまずアイデアを出して、山根さんから改善点があるよねと指摘され、再度アイデアを練り直しました。どういう視点で課題を見つけていくか、プロセスを進めていく上でどういったアプローチをしていくのか、どういう風に行動していくのかなどの考え方のヒントを随時教えてもらいながら、自分たちで動いていくような流れでした。
冨田さん:
そうですね、1週間以内とかアイデア出しに期日があって、いくつか出したアイデアについてもっと深掘りしてみてというような指示もいただきました。
ー店舗への営業もされたとのことでしたが、みなさん別々の役割分担で、それぞれが違うお店に行かれたのですか?
潟永さん:
今回は本当にみんな時間がなくて、タスクを分担しつつ、店舗へは僕一人で行かせていただきました。
ー役割分担されていたのですね。富田さん、吉田さんは何を担当されましたか?
冨田さん:
時間がなく、最後のほうはあまり携われませんでした。
潟永さん:
冨田さんには、最後のプレゼン資料でまとめてほしいところをお願いしたりしていました。
吉田さん:
私は主に、山根さんにアドバイスをもらいながらSNS用のプロンプトの作成をするためのChatGPTとの壁打ちをしていました。
ーそれは最先端な経験ですね!
吉田さん:
はい、とても勉強になりました。クロッシングクエストを進めていくなかで、山根さんがあなたはこの方向でやったほうが良さそうだね」「あなたはこれが向いていそうだね」という感じで個々に適した役割を見出してくれて、だんだん分担されていきました。
ーそれはかなり進めやすくなったでしょうね。「ひのうまいもん大図鑑」を拝見させていただきましたが、InstagramとYouTubeもあり、多角的に情報発信できる仕組みがすでにありますね。ただ、地域メディアが陥りがちな問題として、更新が継続されないということがよくあります。このあたりの解決方法について詳しく教えてください。
潟永さん:
サイトの更新が途絶えないように、自分たちが主体で動きつつ、興味を持ってくれた学生をどんどん巻き込んでいこうと考えています。吉田さんがつくってくれたAIのプロンプトを使えば、情報を入力するだけで誰でも自動で記事をつくれるので、誰でも参加できるというのが特徴です。
吉田さん:
プロンプトをテンプレート化しているので、最低限の労力、人材で持続できるような仕組みになるようにしていました。
ープロンプトの作成は、メンターの山根さんと一緒に試行錯誤しながらつくってきたのでしょうか?
そうですね。AIに慣れているわけではなかったので、まさか自分にプロンプト作成の役割が回ってくるとは思ってもいなかったんですけど、山根さんに助言していただきながら、なんとかたどり着きました。AIは肯定的な意見を出すものなので、どうしたら厳しい意見を引き出せるか、どうしたら視点を変えてより読みやすい記事にリライトできるかなど、アドバイスをもらいながら進めていました。
ー確かに、思いどおりにAIを使いこなすのにはコツがいりますよね。みなさんはほかに今回のクロッシングクエストで難しさを感じた部分はありますか?
潟永さん:
自分が一応チームのリーダーを務めているんですけど、みんなと予定を合わせるのが難しいですし、仕事の割り振りも本当に難しいと感じました。山根さんみたいに「じゃあこれやって」「君はあれやって」みたいなことがうまくできなくて、時間を食ってしまうことがありました。結果的にみんなの予定がカツカツになってしまい、スケジュール管理がとても難しいなと感じましたね。
ーきっとその経験は社会人になっても役立ちますね。冨田さんはどのあたりで難しさを感じましたか?
冨田さん:
クロッシングクエストは確か去年の6月ぐらいに始まったと思うんですけど、何回もアイデアを白紙に戻したりして、ネットでリサーチしてアイデアを出すというのが難しいと感じました。
吉田さん:
私も一番うまくいかなかったな、反省だなと感じたのが予定が合わないという部分でした。学部だけじゃなくて学年も全員違うので、それぞれ別の忙しさがあるなかで進めるのはすごく難しいと感じました。最後のほうは本当に急ピッチで詰め込んで、寝る時間すらなくなってしまって、プロジェクトを進めていく上での段取りもめちゃくちゃになってしまったと思いました。ペース配分も難しかったですね。
ーみなさん、いろいろ大変な思いをしながら進めていたのですね。「ひのうまいもん大図鑑」の運営に関して、今後何か考えていることや継続してアクションを行っていく予定はありますか?
潟永さん:
自分はこの1年結構長い時間を使ってきたので、今後実際に動かしてみて形にして、どういう反応があるのかとか気になりますね。クロッシングクエスト最終日のプレゼンの後に市役所の方と話す機会があって、アイデアについておもしろいねと言っていただいたので、そこは形にしていきたいなとは思っています。
冨田さん:
自分は就活が本番に入りかかっているので、今後は2人に任せたいと思っています。就活が終わって、何かあれば声をかけてもらえれば。
吉田さん:
私もせっかく山根さんにいろいろ教えていただいてつくったプロンプトなので、実際に公開してどれぐらい数値が取れるか、来店してもらえるかっていうところを実際に数値化して見てみたいです。そこからどう改善できるのかというところまで詰めていきたいと思っています。
ーみなさんはこれから社会出るわけですけど、今回のような地域や行政と一緒に何かを取り組む経験は今後大きな糧になると思います。最後に、クロッシングクエストに参加した感想を、良かった点、改善できそうな点なども含めて詳しく教えてください。
潟永さん:
学部や学年を超えてマッチングできるというのが本当に良いなと思いました。自分が持っていない考えなどを知ることができますよね。例えば、情報学部からパソコンの知識が入って来たり、建築学部から建築のことを教えてもらえたり、僕たちはつくれないので、つくれる人とマッチングできるのはとても良いと思いました。一方で課題というか、今回悔しかったのが、最後のピッチの準備時間がなくなってしまったことですね。後半になるにつれてどんどん時間がなくなり、焦りも出て来てしまって、「1日で覚えてきて!」みたいな無茶振りをメンバーにしてしまったのは自分のなかで大きな反省点ですね。今後は今回の経験を踏まえて、何事もきちんとスケジューリングできるように意識したいと思いました。
冨田さん:
普段デザイン学部だと、AI を使うことがあまり良しとされていない風潮があるんですけど、心理学部も経営学部もChatGPTを抵抗なく使って、より良いものをつくっていこうとする姿勢が刺激的で新しい経験でした。反省点としては、会う時間がもうちょっと欲しかったなと思いました。夏休みはもっと会おうねって話してたものの、それぞれの予定が合わなくて結局2、3回ぐらいしか会えなかったので、もう少し直接話す機会を持てたら良かったなと思います。
吉田さん:
新しい学びがとにかく多かったことが、参加して一番良かったと思える点です。心理学部だけでは学べないような AIの使い方や経営学に関するビジネス用語、事業の進め方など、今まで知らなかったことをたくさん学べました。学部を超えたメンバーが集まっているので、ほかの学部のことを知れたこと、交流を持てたことも良かったです。反省点としては、完成させることができなかった点ですね。実際ピッチでは、実証して実際このような数値が取れました、データが取れましたというところまで持っていきたかったんですけども、できなかったのが大きな反省点です。期間内でタスクを進めるためのスケジューリングもですし、それぞれ個人でできたことももっとあったなと思います。クロッシングクエストの一番の集大成であるはずのピッチ本番を、準備万端でのぞめなかったことも反省点です。
ーみなさん、クロッシングクエストでさまざまなことを学び、初めてのことも多く迷いや戸惑いも多かったことでしょう。期間内でのスケジューリングも大変だったと思います。今回経験したことを活かして、今後もがんばってください!本当にお疲れさまでした。